ケンメリ

「ぼく、くるま欲しいんだよねぇ」

このところ、息子にこう呟かれている。頻繁に。とくに朝。保育園に連れて行くときには必ず呟いているんじゃないかなぁ。「いやいや、横浜で車なんてもつ必要ないんだよ。どこでも電車やバスで行くことができるからね」(カーシェアも充実しているしね)と、息子に言い聞かせながら(自分にも言い聞かせながら)、僕は繋がった手の先にあるとても美しい二つの瞳を覗き込む。息子の瞳はくるくると色々なものを吸い込みながら、くるくると色々なものを発信しているように見える。「ほんとうにくるまっていらないの?」とでも言うような光の信号を発信しながら、くるくる回る瞳はもう次の獲物を探しているようだ。「なんでゴジラって家を壊すの?」

久しぶりに晴れ上がった週末の日曜日。家族とともにに日産グローバルギャラリーを訪れた。息子の呟きには応えられないが、いくばくかの車への彼の思いは昇華できるのではと淡い期待を抱きながら。

「ケンメリ!?」

日産グローバルギャラリーに着いて早々、最初に目に飛び込んできた車がスカイラインハードトップ 2000GT(1974年:KGC110)。通称「ケンメリ」だ。

スカイラインハードトップ 2000GT(1974年:KGC110)
後ろから眺める
正面
側面から眺める

「ケンメリって確か同い年だったような」。僕は1972年生まれなのだが、ケンメリも同じ年に生まれたと、なぜだかわからないが以前からそのように認識していた。そこで少し調べてみることにした。

ちなみに展示車脇にあったキャプションには1974とある

4代目 C110型(1972年-1977年)

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E7%94%A3%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%82%AB%E3%82%A4%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%B3

ケンメリとは、1972年から1977年にかけて販売された、4代目 C110型 日産スカイラインの通称であるようだ。

記憶はどうやら正しかったようだ。確かに1972年生まれのようだ。ただ、複数年に渡って販売されていたと言われると、ちょっと小首を傾げてしまう。もう少し希少性のある車だったような。あれ、違う車種だったのだろうか。確かケンメリは警察の車両に採用されていたぐらい一般的な車でもあったような。希少性のある車?

「ケンとメリーのスカイライン」というキャッチフレーズで大人気となった4 代目スカイライン。 この4 代目に設定された2000GT-R は、ツーリングカーレースへの参戦がなかったことに加え、販売期間も1973 (昭和48)年1 月からわずか4 か月、台数にして200 台足らずで生産終了したため、今もって「幻のGT-R」と呼ばれています。 4 輪ディスクブレーキ化や吸気側エアダクトの変更など、メカニズム面は先代GT-R より確実に進化し、通常の2000GT シリーズとは異なるメッシュタイプの迫力あるフロントグリル、ワイドタイヤの装着を想定してフロント側にも追加されたオーバーフェンダー、当時は異例の標準装備リヤスポイラーといったエクステリアも注目を浴びましたが、当時でさえ、その姿を路上で見かけるチャンスは、めったになかったのです。

http://nissan-heritage-collection.com/DETAIL/index.php?id=68

4代目スカイライン(C110型)の2ドアハードトップ2000GTをベースに1973年1月から4月の3か月のみ「2000GT-R」として販売されていた

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E7%94%A3%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%82%AB%E3%82%A4%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%B3GT-R#2%E4%BB%A3%E7%9B%AE_KPGC110%E5%9E%8B%EF%BC%881973%E5%B9%B4%EF%BC%89

ただし、使用されていたS20型エンジンが昭和48年排出ガス規制に適合しなくなったため、レースカーもコンセプトカーが発表されたのみで実際のレースへ参加することはなしに3か月後の4月末をもってわずか197台だけで生産・販売が終了した。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E7%94%A3%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%82%AB%E3%82%A4%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%B3GT-R#2%E4%BB%A3%E7%9B%AE_KPGC110%E5%9E%8B%EF%BC%881973%E5%B9%B4%EF%BC%89

どうやら記憶が混同していたようだ。展示してあったケンメリは2000GTだが、2000GT-Rというより高性能なレースを想定したモデルがあり、それが希少なモデルだったのだ。1973年に販売された2000GT-Rだ。

NISSAN HERITAGE COLLECTIONより

僕は昔から記憶力にはいささかの自信もない。珍しく記憶通りな事柄もあったが、本質的に間違えていたようだ。ケンメリとは1車種2ドアのみだと。そう思っていたのだ。実際にはいくつかモデルがある。既出のGTとGT-Rや、他にもGT-E、GT-ESというモデルもあるようだ。4ドアやワゴンもあるようだ。

やはり僕の記憶は信用できない。

結局は収納が中心になるプランが良いのだろうか

この数年、割と頻繁に思うのだが、収納を中心としたプランは、多くの人にとって理想的な住宅プランなり得るのではないか、と。

いくつかそう思うに至る理由がある。

まず第一に、人が暮らすとき、収納は必ず設置しなければならないある程度のスペースを必要とする機能だということだ。この、スペースを必要とするというのが割と厄介なものとなってくる。

通常、家づくりを考える場合、自分たちがより多くの時を過ごすスペースの充実を図ることを優先させることが多い。例えばリビングやキッチンなど。大抵の場合、収納について考えることは後回しになる。

後回しにされた結果、必要とされるであろう収納としてのまとまったスペースを確保することは叶わず、残ったスペースをパッチワーク状に散りばめた収納ができあがることになるだろう。使いづらい収納として。

第二に、収納は必要だが、その必要量を事前に想定することはなかなか困難であるということだ。収納にはいくつか種類がある。例えば、クローゼットや、納戸、パントリー、土間収納など。それぞれに必要とされる現時点のスペース必要量はおおよそ確定できるだろう。だが、5年後はどうだろう。10年後は。

こういった未確定な要素に対応するために、収納スペースの可変化が必要となってくる。では、どのように可変化を実現させるのか。

具体的には、クローゼットやパントリー、納戸などの収納スペースをまずはひとまとめにし、それぞれを簡易間仕切りや可動式の収納などで分割する。これだけだ。これだけで収納スペースの可変化は実現できる。

例えば10年後。クローゼットをもう少し広げたいとなった時、他のスペースを少し狭くすることによってクローセット広げることが可能になるのだ。特別な工事の必要はない。ただ収納スペースを間仕切っている可動式ななにがしかを動かせば良いだけなのだ。

それでは実際にプランを見てみよう。

プラン1:収納を中心としたプラン例

まずはプランの説明から。

中心には蔵(収納)がどかっと鎮座している。蔵はあらゆる収納を取り込む。納戸、クローゼット、土間収納、パントリーなどなど。

その周りには必要な諸機能が取り付いている。蔵を中心として、周りにリビングやキッチン、寝室、洗濯室などなど諸室が配されてる。

表題にて収納が中心になるプランと書いたが、収納スペースをひとまとめにした「蔵」を前提にしたプランを作成すると、文字通り、蔵が平面的に中心に位置するスペースを占めることになる。なぜならば、蔵は諸室からの直接的なアプローチを必要とするスペースであり、直接的に接するには蔵の内側か外側かのどちらかに接するしかない。

このプランは蔵の外側に諸室が接している。蔵を中心として、諸室はドーナツ状に配されたスペースとなっている。

このプランの逆もある。蔵の内側で接する。つまり、諸室を中心として、蔵がドーナツ状に配されるプランだ。この場合の蔵はおそらく限りなく壁面収納的なものとなるだろう。すなわち外壁を形成している壁が全て収納も兼ねるのだ。

プラン2:壁面収納例。このプランでは露地右側の壁が壁面収納となっている
プラン1:収納を中心としたプラン例

また、蔵は裏導線、家事導線を兼ねている。蔵が中心となる故に、導線(住人の移動経路)も蔵の中に入ってる。何故か。例えばプラン1でLDKから寝室への経路を考えてみよう。

蔵を通過しない導線は LDK-ワークスペース-廊下-家事室-子供部屋-寝室 となる。

蔵を通過する導線は LDK-蔵-寝室 となる。

このように、蔵を通過することにより導線はかなり短くなる。ある部屋に行くとき、短い導線と長い導線の二つを選ぶことができる。大抵の場合、短い導線を選ぶだろう。よって蔵のなかを導線が通過することとなる。

加えてこの導線は収納スペースでもあるので、導線の必要性と収納の必要性を秤にかけ、場合によっては収納スペースとすることも可能だ。

住宅を建てる場合、いずれにせよ、面積は自ずと限られてくる。定まったパイを各々のスペースが奪い合う形になるのが、プラン検討の常だ。キッチンをもう少し広げたいから書斎を小さくする。リビングを広げたいから家事室をなくす、など。そのようなとき、記名性の薄い転用可能なスペースがあれば、プラン検討の幅は広がるだろう。

このように、人が生活をする上で収納は必要であり、その収納スペースの可変化は将来の生活の変化にも柔軟に対応できる機能を提供し、同時に各々が充実させたいリビング等のスペースを広くすることも可能だ。収納スペースの可変化は、家づくりをする上での自由度を押し広げてもいる。

どうだろう。一度収納が中心になるプランを考えてみるのは。

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