「ぼく、くるま欲しいんだよねぇ」
このところ、息子にこう呟かれている。頻繁に。とくに朝。保育園に連れて行くときには必ず呟いているんじゃないかなぁ。「いやいや、横浜で車なんてもつ必要ないんだよ。どこでも電車やバスで行くことができるからね」(カーシェアも充実しているしね)と、息子に言い聞かせながら(自分にも言い聞かせながら)、僕は繋がった手の先にあるとても美しい二つの瞳を覗き込む。息子の瞳はくるくると色々なものを吸い込みながら、くるくると色々なものを発信しているように見える。「ほんとうにくるまっていらないの?」とでも言うような光の信号を発信しながら、くるくる回る瞳はもう次の獲物を探しているようだ。「なんでゴジラって家を壊すの?」
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